『一椀の汁と麦飯』
「女武芸者」の中では、「一椀の汁」と「麦飯」で終わる。
真崎稲荷の道場には、まだ一人の入門者もない。
大治郎は依然、一椀の汁と麦飯に腹をみたしつつ、道場に独り立って剣をふるい、&br;また、時には二日も三日も食を断ち、端座したまま瞑想にふけっていたりする。 (P63)
- 「一椀の汁と麦飯に腹をみたしつつ」
- 「時には二日も三日も食を断ち、端座したまま瞑想にふけっていたりする」
この二つの表現だけとっても、自己鍛錬に励み続ける秋山大治郎のイメージが
ふくらんでくる。
池波正太郎の文章の面白さである。